Vol.5 この先どこに向かうのか? 在宅就業支援制度

~更新手続後の雑感「再び」~

es-teamMTGの様子
2013年「第9回es-teamミーティング」

障害者雇用促進法に定める民間企業等の法定雇用率が2.2%に引き上げられ、精神障害のある人の雇用が義務化される等の大きな変化が見られたこの4月、同法の定めにより2006年に制度創設され、同時に東京コロニーもその登録を認可された「在宅就業支援団体」について、3年に一度の登録更新手続がひっそりと行われました。 「ひっそり」などと書くと失礼かもしれませんが、制度導入から12年が経過したものの、その認知度はいまだ低く、登録団体も全国で22にとどまっていながら、12年前から同じ手続を繰り返してきた立場から言うと、「ひっそり」という表現がぴったりと感じています。

 

テレワーク推進賞「奨励賞」受賞
2015年
テレワーク推進賞「奨励賞」受賞

雇用関係のない、請負の形態で在宅就業を希望する人に対する企業等からの発注額に応じてインセンティブ(特例報奨金・特例調整金)を用意することで、雇用以外の「働く選択肢」「就業の多様性」を認め広める切り札として期待されたこの制度ですが、雇用施策や、障害福祉サービスにおける就労支援施策等と比較すると、普及も拡充も12年間ほとんど見られず、「確かな朗報」として、今年度こそはと誰もが期待し、登録を続けていくことの決め手となった、支援団体への「公的な支え」の話も結局は、いつもと同じ曖昧なままのスタートとなりました。

 

とはいえ、在宅就労グループ「es-team(エス・チーム)」は、制度以前からすでに当事者たちによって結成され、自助努力によって今日まで実績を積み上げてきたチーム。実績もこの数年で伸ばしており、これからも「はたらくカタチは、ひとつじゃない」をスローガンに、メンバー一同、仕事やお客さまと向き合っていきたいと、決意を新たにしています。

 

ちょうど9年前の更新手続の際に、私自身が著した「雑感」が残っていましたので、以下に再掲します。障害者権利条約の批准や、「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)の浸透、これらを実現するための様々な方策など、9年間でこの分野をとりまく環境はずいぶんと変化しましたが、この雑感の中身については一字一句、当時と変わらないように感じています。

 

この先どこに向かうのか? 在宅就業支援制度 ~更新手続後の雑感~
東京コロニー職能開発室発行の機関紙「トライアングル Vol.47」(2009年7月)にも掲載

 

 東京コロニーでは、この5月に、厚生労働大臣が認可する「在宅就業支援団体」の更新手続を行い、引き続き3年間、登録認可されることとなりました。

 在宅で働く障害のある人たちへの仕事の発注奨励策を盛り込んだ在宅就業支援制度が創設されて、はや3年。時間的制約や移動困難のある方が「在宅で仕事を請け負う」というSOHO型のワークスタイルは、働く選択肢のひとつとして期待され、受発注の仲介・推進役となる在宅就業支援団体の登録も現在18を数えるまでになりました。これら団体のなかには民間企業が運営するもの、福祉就労施設と併設して行うものなど、それぞれが工夫を凝らして制度を幅広く活用する事例もみられ、後進のモデル的な役割を果たしているといえます。

 

 しかしながら、多くの課題も浮き彫りになっているのも事実。特に、発注に対する報償制度の条件が限定的で、大きな取引に偏りがちな点、運営基盤について各団体に任せきりの点、そして、多様な受け皿として最低限必要と思われる「全国で100団体」という政府レベルの目標達成も、遠い道のりというより、道筋そのものがどこへいったやら?という印象をぬぐえないのが実情といえます。

 

 3年という数字は、他の法令や制度にも見られるように、それまでのサイクルを検証し、次のステップに向けた見直しを行えるひと区切りの段階ともいえるもの。この間、支援団体同士の横のつながりも緩やかながら進展をみせ、意見交換会の実施、ノウハウを集約した広報誌の発行、教育事業の協働などの成果を挙げてきました。これらの成果と前述の課題を今一度つき合わせて、この制度を必要としている人たちや事業主に有用な制度としてスムーズに届くよう、官民で制度のあり方を考える時期に来ているのではないでしょうか。職能開発室においても在宅ワークを希望する新たな声が増え、そのニーズは痛いほど感じています。運営において公的な支えが無いのは決定的に厳しいですが、自らの運営努力はもちろん、他の福祉制度をうまく併用するなどの道も探りつつ、次の3年間をさらに飛躍の期間としていくよう決意を新たにしています。

(吉田)

es-teamMTGのようす

(吉田 岳史/東京都葛飾福祉工場)

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