エス・チームは、在宅就労支援のパイオニア、(福)東京コロニーが運営する、働く障害者のチームです。
 
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短期デザイン講座 第5回 (吉田)

2008年05月16日  吉田 発

第5回目講座の課題は「アートビリティ作家展のパンフレットをA4・4ページでデザインしてみよう!」です。
前回の課題「会社案内のパンフレット制作」では、制約された情報と条件のなかでいかにクライアントのリクエストを聞き出して考察していくか、そしてそれをどのようにデザインに反映させていくかが問われ、受講生の皆さんもさすがに苦労された様子が伺えました。今回は第3回目と同じく、「アートビリティの登録作品(以下、作品)を使ったメディア制作」。ただし、前回はあるコンサートのポスターに作品を使うことが課題でしたが、今回はズバリ、「作品そのものを紹介する展覧会や個展」がテーマ。個展の雰囲気や来場者を想定し、足を運びたくなるようなデザインをいかに創るかというものです。第3回目のときと同じく、アートビリティ事務局の岡嶋さんも作品のセレクトや貸出窓口として手伝ってくださいました。
第5回課題「アートビリティ作家展のパンフレット」の写真
20年近くアートビリティ事業にかかわり、多くの広告物を制作してきた西田講師。アートビリティへの思いは並々ならぬものがありますが、講義はあくまで淡々としていて、受講生一人ひとりのデザインに対する考え方や作品セレクトの理由などをひとつひとつ聞き出し、コメントを重ねていきます。
前回課題の際には、作品の「コアな部分以外のところを使う」ことで新しいイメージを創りだし、一同をうならせた佐久間さんのデザイン。「手にした人が興味を持ってもらえるように」と、パンフレットの表紙に使うメイン作品には、岡村隆矢さんの「サボテンかくれんぼ」をセレクト。岡村さんは力強い構図とはっきりした色使いで評判の高い、まだ10代と若い気鋭作家です。構図的にも非常にインパクトのある媒体となりました。見開き部分には、自身でセレクトした作品群と、その中心にアートビリティのコンセプトを紹介。フォルムを見せるための影の入れ方や、用紙折れ線との兼ね合いにもうひと工夫あればとの指摘もありましたが、スペースをうまくとりいれてバランスよく仕上がりました。
毎回ユニークな発想が反映されている松下さんのデザインは、表紙のフォントに工夫を凝らした点が印象的。書体はデザインの鍵。いろいろな経験を重ね自分なりのセオリーを見つけていくという命題が常に伴います。シンプルで落ち着きのある印象を与えた表紙デザインと、作品のセレクションに評価が集まりました。
そして、イラストの「切り方」「処理の仕方」にセンスを見せた古関さん。表紙にはブラックを基調に、それぞれのイラストアートビリティ作品を切り抜いて合わせたイメージイラストを使ったものと、「心の扉を開く…」というコピーを中心にデザインしたきめ細かな風合いのデザインの計2点を提出。
中面のデザインはいずれも「美術館を巡っている」をイメージしながらデザインしたとのこと。一見、不規則に紹介されている作品や作家紹介も、お気に入りの絵を探しているようすを意図したもの。ルールや意図があって読みにくそうなものは、その気にさせるためのアイディアであり方法であることを示してくれました。
アートビリティ作品を題材にした印刷物などの媒体は、一年間に約300点にものぼります。そのひとつひとつが、作家のオリジナリティにデザイナーの思いが加わった新しい作品となって世に紹介されています。今回は、こうした媒体にも引けをとらない非常に質の高いデザインが集まったと同時に、「障害のあるアーティストとデザイナーのコラボ」によって、さらに新しい感動と就労の道が開かれたような、非常に印象深い講座となりました。
岡村陸矢さん「サボテンかくれんぼ」 田辺綾子さん「木かげ」
徳岡麻実子さん「1998.5.1」
今回使われたアートビリティ登録作品(一部のみ紹介)左から: 岡村陸矢さん「サボテンかくれんぼ」/田辺綾子さん「木かげ」/徳岡麻実子さん「1998.5.1」
参考サイト
アートビリティ この講座の「潜入レポート」がご覧になれます。
「グラフィックデザイン講座」第3回目のようす

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