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短期デザイン講座 第4回 (吉田)

2008年04月16日  吉田 発

第4回目講座の課題は「企業のA4・4ページの会社案内をデザインしてみよう!」です。
今回はいままでとは違った難題であり、受講生も壁にぶつかった感がありました。「ありふれたものを手にして飽きられたり捨てられたりしてはいけない。見てもらうためのキャッチ、ワクワク感を表現するには何が必要か」が今回スローガン。ポスターデザインなどはデザイナーによって幾通りものイメージが生まれ受け入れやすいのですが、それに比べて会社案内をデザインする場合は制約が多く、それだけに自分の世界や考えにこだわっていると「とんでもない作品」ができあがってしまうこともしばしあるのだそうです。
松下さんの作品は、クライアントのソフトウエア関連事業をベースに活動のフィールドを少しずつ育てていくようすを8コマのイラストに見立てて、それらをスライドさせながら表現。限られたスペースの中にストーリーを展開させる着眼点には松下さんならではのセンスが伺えましたが、今回はその発想力をクライアントの志向にどのように活かしていくかが課題となりました。
佐久間さんは、女性が多い会社+ソフトウエア会社であることをイメージした作品。モチーフとなる素材探しに苦労されたようですが、アートビリティのイラストにあった「林立する木の幹」をとても面白く使いこなしました。これがかえって印象的すぎたらしく、他のモチーフとのバランスに課題を残しましたが、素材創りに困難がある場合でもアートビリティを活かせる道を見出してくれた気がします。
古関さんも、元気な女性が多い会社をイメージして2案作成。女性ならではのエネルギッシュな側面を太陽の光や水がひろがっていくシーンで表現した1案、そして「仕事のきめ細かさ」を、きれいなストライプのラインを流してイメージ化した1案が披露されました。見開き部分、コンテンツを扇形に取り入れたデザインがアイデアとしてとても面白く感じられる作品でした。
かなり高いレベルが要求される課題で、受講生からも「今回は難しかった。アイデアが出てこなかった」「質問をしたかったのだが、何をどう質問してよいか悩んだ」などの、この間の苦悩がうかがえました。
壁に貼られた課題の写真 受講生と課題の写真
クライアント企業の「顔」であり、そのクライアントにとっては顧客との最初の接点ともなる「会社案内」のデザイン。デザイン力もさながら、キーとなるビジュアルやコピーを創るには、いかに多くの情報を引き出すかがカギになります。また、クライアント自体も要望を充分に伝え切れていないことも多々あるため、講師の言葉でいえば「受身であっては絶対にすすまない」とのこと。机上でのデザインだけが仕事ではない。クライアントの持っているイメージを引き出し、時には指摘して伝え、ともに解決を図っていくことがこれから試されていきます。そのためには苦手であっても質問を行い、一方で情報を蓄積し、必要なものをうまく見極めていくテクニックも必要になっていきます。「自分のデザインを語る」には、お客さまとのコミュニケーションによってしか得られないものもあり、これには地道に「繰り返す」しかないとのことです。
とはいえ、限られた期間で作品をつくり上げ、それぞれがもつ特徴やアイデアをうまく取り入れて表現する実力は着実に見られています。あと2回を残す講座ですが、ここでの課題解決を図りながら、さらに進んでいきたいと思います。

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