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プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影展

2011年11月13日  中村 発

こんにちは、中村です。
今回は、三菱商事さんからご招待をいただいた「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影展」特別鑑賞会について少し書こうと思います。
昨日11/12(土)に開かれた鑑賞会でした。
ご招待をいただく会は、たいてい学芸員さんの講演がついていたり、他のお客さんが帰ったあとに開催されるゆったりした贅沢な会なのでできるだけ行きたいと思っていて、自分としても数多く見せていただいてる気になっていたのですが、あらためて確認のために2010年以降にご招待いただいた展覧会をまとめてみますと。
2011年12月3日(土) 法然と親鸞 ゆかりの名宝
2011年11月12日(土) プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影展
2011年10月1日(土) イケムラレイコ展
2011年9月3日(土)  空海と密教美術展
2011年7月9日(土)  大英博物館古代ギリシャ展
2011年5月28日(土) 宝石サンゴ/ウェルカムパンダ展
2011年5月7日(土)  写楽
2011年3月26日(土) レンブラント 光の 探求/闇の誘惑
2011年1月29日(土) 仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護
2010年10月30日(土) 東大寺大仏?天平の至宝?
2010年8月21日(土)  誕生! 中国文明
2010年7月31日(土)  ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展
2010年5月29日(土)  細川家の至宝
2010年5月9日(日)  龍馬伝
うおおおお、ゴヤとギリシャの身体美にしか行ってない!何てことでしょう!!
(レンブラントは私のメールサーバにトラブルがあって申し込みが出来なかったのですが)
今思うと惜しい展覧会だらけですが、おそらくその都度よんどころない事情があったのだと思います。
振り返ってみると、行った会はその全てが興味深く(ルーベンスのファンなのは、そういえばこのルーブルの展覧会がきっかけだったと思い出し・・・)、今度からは万障繰り合わせてできるだけ参加しよう!との思いをいま新たにしました。
さてゴヤ展ですが、展覧会の構成はおよそ時系列に沿って「宮廷画家ゴヤ」「風刺画家ゴヤ」「人の心の深層にある恐怖を描きだしたゴヤ」をつづれ織りのように各部屋に並べるものでした。
先日読んだフランスの小説に登場して非常に印象的だった、個人的にお目当ての作品「わら人形」こそ来ていませんでしたが、似たモチーフというか似た動機があるような気がする「目隠し鬼」が来ていました。思いっきりジロジロと見て、軽やかな描写の奥にひと呼吸置いた別の目線が確かにあるなあと感じて満足。いずれも現代の遊びに置き換えることは難しいけれども、現代の「辛辣な社会風刺の画家」だったらどんな遊びをモチーフにするのでしょうか。
やはり夢中で見てしまったのは、宮廷画家として注文に応じて描いたものではなく、同時に描いていた風刺的だったり幻想的だったりした版画群です。それらには、後の世の絵画への色濃い影響も見てとれました。
同じ作品の「下書き」と「完成品」が揃って見られるものが幾つかあったのですが、使用前/使用後という感じで、すごーく磨かれていて、訴えたいことが数段クリアに伝わる完成度の高い作品に変貌していて驚きました。
日頃、ウェブサイトやポスターのデザインを考えるときは「初めはスケッチブックに鉛筆描き」→「最後にパソコン」の流れで行うのですが、どう見ても最終結果が最初のイメージを越えるものにならなくて、いったいそれはどういう訳なんだろうと悩みはじめて幾星霜・・なので、ゴヤのブラッシュアップの、何ていうか「飛翔感」には、ほとんど呆れさせられました。
版画作品が相当にキュートだったので、思わずそれらの作品をアレンジしたクリアファイルを購入してしまい・・・。
少し前に、三菱地所さんのノベルティ「クリアファイル+それに挟む1枚ものの印刷物」のデザインを受注して作業させていただいた関係でクリアファイルのデザインが気になっているところでもあり、とっくりと見せていただきました。
その結果。
クリアファイル全体の写真 クリアファイル一部拡大写真 クリアファイル一部移動させた写真
おおーー、作品名を日本語で書いた部分だけ別紙になっている!
(分かりづらい写真でスミマセン。右の2つが、日本語名を書いた別紙を出し入れしてる様子です)
こういう「あっ、シャレてるな?」と見る人を嬉しくさせるものが作れたらいいな、と次につなげるヒントになりました。
あっそういえば、噂の「マハ」については、当時のいかした女性たち(日本で言ったらモガみたいなもの?)のことだと分かって、衣装を眺めて「ははーん」などとつぶやいてきました。頭から肩にかかるケープみたいなのが、とりわけ「ははーん」です。
着衣のマハ」は、寝台と肘でギリギリのトリミングと、特に何も描かれていない背景に心惹かれました。普段プラド美術館では「着衣」と「裸」が並べて展示してあるそうですね。マドリードへ旅行する予定がある人たちが集うサイトで「ああー、○○はその頃は日本にありますね!」などと話されているのをみて、至極ノーテンキな感想ですが、人類みんなの宝物は、すべからく大事にされて、皆で共有できるようにされるべきだなと思いました。
まあ、宝物って何なのかという話もややこしいと思うのですけど。
あっひとつだけ欲を言えば、展覧会では展示作品の目録(図録ではなく)がA4数ページの形で配布されますが、あれは、標準の言語(今回はスペイン語でしょうか?英語でしょうか?)で作品名を書いておいていただけるとありがたく(誰に言っているんだ)。ネットで調べ物をするときに、日本語以外のほうが情報を多く得られたりするので。。
そのようなわけで、明日への糧をいただいた会でした。
三菱商事さん、ボランティアの皆さんに感謝をこめて。
また何かに心を揺さぶられたら、レポートしたいと思います。

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